古びた白黒写真を手でなぞる。
遠き日の一瞬を写し取って現代に伝えている写真。
ここに映っているとき、貴方は幸せでしたか?
知りもしない、写真の中でにこやかに笑っている人に問いかける。
答えなんか、返ってくるはずもなく時間だけが過ぎていく。
「お、瑞穂じゃん。こんな埃臭いとこでなにやってんだよ」
部屋の中の沈黙を崩したのは和也。
「別に・・・」
「おいおい、探し回った人に対する言葉がそれかよ」
「探してなんか言ってない」
なんでいつもこんなかわいくない事言ってしまうんだろ。
「っとに・・・。おら行くぞ?」
床に座り込んでいる私に差し出された手。
それを掴むと優しく握られた。
「うん」
それを握り返しながら私は心の中で壊れた時計が再び時を刻み始める音を聞いた。