くるくるくるくる世界は回って
それでも僕は変わらずに
ただここで立ち尽くす



街の喧騒、騒ぐ声。
全てが耳障りで、無意味で・・・。
僕から遠く離れたところから聞こえる。

「また難しい顔して何か考えてる。何考えてるの?」

「ん?あぁ、なんでもないよ」

そう言うと、彼女は少し悲しげな顔をする。
そんな顔させたいわけじゃないんだ。
不器用な僕がイヤになる。

「ほらほら、もう映画始まっちゃう。記念すべき初めてのデートなんだから・・・」

優しい笑み。
白く光り輝いて見える微笑。
本当に、僕にはもったいないくらい素敵な人だ・・・。

そう考えてる僕の前で軽く首をかしげる君。
ヤバイぐらいに可愛く見えてしまう僕は病気。

「そうだね。行こうか」

手を差し出すとうれしそうにはにかむ彼女。
抱きしめてしまいたいと思う僕はなんなのだろう。

「・・・あの、さ。腕・・・組んでもいい?」

彼女が僕の手を握って、見上げてくる。
少し恥ずかしそうな表情。
見ているこっちまで恥ずかしくなってしまい、少し顔を背ける。
彼女がうつむくのがわかる。
自分の顔が熱い。
頭が沸騰しそうだ。

「・・・うん」

聞こえるか聞こえないか、それぐらいの小さな声。
彼女の手が入れるように腕を持ち上げて隙間を空ける。
ためらうように入れられた小さな手。

彼女の全てが愛しいと思う僕は病んでいる。
彼女が居ないと生きていけないほどに病んでいる。

どうでもいい世界の中で唯一つ見つけた大事な人。
なによりも大切で、守りたいと思う人。

君の笑顔はささくれ立った僕の心を癒してくれる。
君の声が、僕の乾いた心に水分を与えてくれる。

不器用な僕らは今日も歩いていく。

ねぇ、ひび割れた鏡の向こうに居る君は、壊れた僕に何を望むの?